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FIT期間終了に向けてLooopが格安の蓄電池を投入。家庭用太陽光発電は今後どうなる?

   

「藤本健のソーラーリポート」は、再生可能エネルギーとして注目されている太陽光発電・ソーラーエネルギーの業界動向を、“ソーラーマニア”のライター・藤本健氏が追っていく連載記事です(編集部)

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 太陽光発電における2019年問題というのをご存知だろうか? これは2009年に始まった、太陽光発電でできた電気を、市場より少し高い値段で電力会社が買い取ってくれるFIT制度が10年の経過とともに終了する、ということで発生する問題だ。

 筆者は、震災のはるか昔、2004年に自宅屋根に太陽電池を設置し、12年以上太陽光発電生活を送ってきたわけで、まさに2019年問題が間近に迫りつつある身なのだ。そうした中、株式会社Looopが先日、記者発表会を開催し、2019年問題も意識した3つの新製品、新サービスの発表を行なった。

 具体的には、いわゆる新電力といわれる小売電気事業者としての「Looopでんき」の新メニューについて、家庭用の太陽光発電システムである「LooopHome」について、そして家庭用蓄電池である「Looopでんち」の3つ。

 それぞれ、家庭での太陽光発電との付き合い方、そして間もなく直面する2019年問題と関連する興味深い発表会だったので、その内容を筆者の視点から考えてみたい。

■電気料金が安くなる新メニュー「Looopでんき+(プラス)」

 まず最初に発表されたのが、Looopでんきの新メニュー「Looopでんき+(プラス)」というもの。

 これまでもLooopでは家庭用の「おうちプラン」と、事業者用の「ビジネスプラン」という2つのメニューで展開していた。今回のプランは、家庭用の太陽光発電システムを導入している家庭がその電気をLooopに売電すれば、電気料金を1kWhあたり1円割引くというもの。

 実は、この4月11日から電力の売電の流れが少し変わる。筆者のように家庭の屋根で発電した電気は、みんな一般送配電事業者に売電する形に移行する。

 関東であれば東京電力パワーグリッドに売電するため、ここから売電による電気代が振り込まれるのだ。ただし、この際、一般送配電事業者に対し、自分の売電した電気を特定の事業者の電源として使用することを承諾するという手法がある。これをLooopに指定することで、実質的にLooopへと電気が渡ることになるのだ。

 ただし、図のように、個人が直接やり取りする相手は、あくまでも一般配送電事業者。この関係において個人とLooop間での金銭の授受はなく、筆者であれば、従来通り1kWhあたり48円を得る形になる。ただしLooopでんきから電気を買う場合、その電気料金が割り引かれるという形だ。

 Looopの説明によればこうすることで、全国どのエリアにおいても業界最安水準の電気料金になるという。また次に説明する「Looop Home」を組み合わせれば、さらに1円値下げするとのことで、圧倒的な業界最安値になるのだとか。

 だったら、筆者はこれに飛びつくかというと、そうでもないのが実際のところ。というのも、ウチは東電が以前提供していた「おトクなナイト10」というメニューにはいっており、それが2020年3月末まで使えるようになっているため、これが圧倒的に得だからだ。

 ここで気になるのは2019年11月を迎えたらどうなるのか、という点。まだ、いくらになるかはまったく決まっていないのだが、Looopの代表取締役社長、中村創一郎氏によればFIT期間終了後も、電源をLooop FITとして余剰電力買取を行なうという。

 そして、Looop FITは、一般送電事業者へ売電するよりも1円程度高い値段での買取を検討している、という。そうなると、筆者としても非常に気になってくるわけだが、いま一番の関心事は、2019年11月以降の売電単価がいくらになるのか、という点だ。

 これについて中村氏に質問してみたところ「現時点では、単なる予測に過ぎないが、10円前後になるのではないかと思う。Looop FITとしては一般送配電事業者への売電より高く買い取れるようにする計画で進めている」と話す。いまの48円から10円に下がるのはかなりショックではあるが、少しでも高く買い取ってくれるのであれば、将来の選択肢としてありえそうだ。

■設置費も格安な太陽光発電システム「Looop Home」

 2つ目に発表したのが、Looop Home。一言でいえば、Looopが発売する家庭用の太陽光発電システムの製品発表というわけだが、これまで同社が発売してきたNEXTOUGHというブランドの単結晶シリコンの太陽電池パネルを、Looop Homeブランドのもと、広く展開していこうというのだ。

 ここで気になるのが、その価格。筆者の場合は、すでに2004年にシャープの太陽電池パネルを屋根に載せており、現在も元気に発電しているため、これをすぐにLooopHomeに切り替えるということはないが、現時点でいくらくらいなのかは興味のあるところ。

 だいぶ以前に記事でも紹介した通り、筆者は当時3.6kWのシステムをトータル約200万円で入手し、そのころは国の補助金、横浜市と神奈川県の補助金もあったため、実質約170万円で入手できた。

 一方、今回発表されたLooop Homeは、1kWあたり25万円弱(工事費込み)で設置できるという。それなら4kWで100万円という計算。そこまで安くなっているなら、売電価格が安くなったといっても、いざというときのためなどから、即導入すべき段階に入ったのではないか……と思った次第だ。

■売電ではなく蓄電という考え方の「Looopでんち」

 さて、筆者自身が、今回のLooopの発表において、もっとも気になったのが家庭用の蓄電システム「Looopでんち」についてだ。なぜなら、2019年以降FITが終了し、売電価格が急激に下がったら売電するよりも、昼間発電した電気をバッテリーに貯めて、それを夜間などに利用するほうが、よっぽど得だからで、今後このニーズが高まっていくことは間違いない。

 しかも、中村氏がいうように、もし10円程度になったら、そうするのが圧倒的に有利になるのは分かってはいたが、従来の京セラ、パナソニック、東芝、長洲産業……といったメーカーの蓄電池の価格を見ると、200万円前後というのが一般的。補助金などを得たとしても、なかなか現実的な価格とはいえない。

 また、これだけ高価な製品であるにも関わらず、かなり融通が効かないシステムになっていたというのも事実。これまでも、この連載で何度か紹介したことがあったが、こうした蓄電池の利用の仕方は、以下のようなパターンが考えられる。

・夜間の安い電力を貯めて、昼間の高い時間帯に使う節約型
・昼間の太陽光発電による電力を貯めて、夜間も使う環境型
・災害などで電力が止まったときに効率よく使う独立型

 これら3つがメインで、電力ピーク時間帯に放電するオフピーク型など、その応用タイプなどもあるが、いずれも一度設定すると、簡単には変えられないというものがほとんど。中には見た目は同じなのに、製品としてどのタイプかが決まっていて、後での変更が不能というものも少なくない。

 その背景には、「ダブル発電」という問題もあった。ダブル発電とは、太陽光発電とエネファームなどの燃料電池などを組み合わせるものを意味するのだが、ダブル発電すると、太陽光発電の売電単価が下がるというデメリットがあった。なぜなら、ガスで発電しているものを高額で売電しても、環境的なメリットがなく、電力会社側から見て、太陽光で発電しているか、ガスで発電しているかを区別することが難しいからだ。

 そして、太陽光発電と家庭用蓄電池の併用も基本的にはダブル発電と見なされる。夜間の電気を貯めて、昼間に高く売るのでは、社会的になんらメリットがないからだ。そのため、ダブル発電とみなされないためにはバッテリーの使い方に厳密な規制があったのだ。それは太陽光発電の電気を売電することはいいが、蓄電池からの放電を売電してはならない、というもの。そのために、あまりバッテリーに自由度が持たされていなかったのだ。

 ところが、2019年11月を過ぎると、そもそも売電価格が大幅に下がるため、そうした規制も不要になってくる。さらに、これから新設で太陽光発電を導入する人の売電価格においても大きな変化が出てきている。

 以下の表は昨年12月13日に、経済産業省の調達価格等算定委員会が2017年度売電価格の委員長案として発表した、今後の太陽光発電の売電価格。これを見ると2019年からは、太陽光発電のみの売電価格とダブル発電での売電価格が同じになっているから、蓄電池の自由度をもっと高めてもいいはずだ。

 今回発表されたLooopでんちは、そうした問題に対して大きく食い込んできたのだ。ここではインターネットとの通信機能と人工知能によって、蓄電池を最大限活用できるようにするというのだ。

 たとえば各地点ごとの天気予報などをもとに発電量を予測したり、その天気や気温なども活用した情報から電気の需要量も予測した上で、それにマッチした充電、放電を可能にするのである。つまり、天気のいい日は昼間に発電した電気を蓄電池に貯めて夜間に使い、天気の悪い日は安い電力時間帯の夜間の最後のころにいっきに充電し、昼間はその電力で過ごす……といった形をとるのだ。

■本体価格89万円。既存の家庭用蓄電池よりも大幅に価格を抑えたモデル

 また、こうした厳密な制御をしていくことで、蓄電池の容量自体を小さくすることができる、というのもLooopの主張だ。既存の家庭用蓄電池というと、5~8kWhの製品が中心となっていたが、Looopではこれを4kWhにしても十分活用できると主張している。そして4kWhにすることで価格を大幅に抑えることができ、今回発売するLooop電でんちは、税抜きで、工事費別とはなるが、898,000円とかなり安い価格を設定してきている。

 この898,000円には4kWhのバッテリー本体だけでなく、パワコン、通信コントローラー、そしてリモコンも含まれ、初年度の通信費は無料、2年目からは月額900円というものになっているのだ。ただし、震災で長時間程度が起きたときなどに、限られた部屋で生活可能にするためのバックアップ用分電盤に関してはオプションの別売となるようだった。

 確認してみたところ、Looop以外の太陽電池パネルでも利用することが可能であり、その場合、パワコンはLooop製のものに切り替えて使用するとのこと。これは筆者の環境においても2019年以降なら十分に検討する価値がありそうに思えた。

■今後の鍵は、さらに低価格なテスラの蓄電池「パワーウォール」の日本展開

 ただし、価格面においてもう1つ気になるのが、アメリカ・テスラ社の動向。テスラでは、家庭用の蓄電池としてパワーウォールという製品をアメリカで販売している。そして先日発売された新製品のパワーウォール2は常識を覆す低価格となっており、14kWhと莫大な容量でありながら、696,000円だというのだ。詳細がよくわからないのだが、設置費用と必要なハードウェアの代金177,000円を含めても873,000円と激安。

 これについてLooopでんちを担当する、インフラ事業本部企画開発部長の堤教晃氏に確認してみたところ、「われわれもテスラの動向には関心を持ってみている。パナソニックのバッテリーを使っているとのことなので、今後パナソニックと連携することや、テスラ自体との交渉なども視野に入れつつ取り組んでいきたい」と、当然のことながら、関心度は高そう。

 ちなみに、このテスラは、すでにパワーウォール2の予約受付を開始しており、予約するためには65,100円の予約金が必要となる。詳細がまったくわからないなか、予約金を払うまでの勇気はないが、この価格で使えるなら、即導入したいレベルであるのも事実。先週、東京・青山にあるテスラのショールームで話を聞いたところ、アメリカでも生産がまったく追いついていない状況で、日本でいつ発売できるか、まったく未定であるとの話。

 また日本で使う場合のトータルのシステムがどんなもので、いくらになるのか……といった情報も降りてきてないとのことだったので、まだしばらく先になりそうではある。もちろん、Looopでんちが実現する人工知能を使ったシステム制御も非常に気になるところだし、2019年に向けて、これからどんな動きがあるのか、じっくりと見ていきたいと思っている。

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