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震災6年、原発再稼働遅れ火力頼み エネルギー政策迷走の代償大きく

   

東日本大震災から11日、6年を迎えた。東京電力福島第1原発事故は、多くの住民に痛手を与えただけでなく、日本のエネルギー政策に傷痕を残した。この6年間、原発の再稼働は遅々として進まず、火力頼みが続いた。不安定な太陽光発電に傾斜した再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)の失敗も表面化した。(九州総局 中村雅和)

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 「玄海原発が動かなければ、電力の安定供給に支障をきたす。(これまで)長かった」

 今月7日、佐賀県玄海町の岸本英雄町長はこう語り、九州電力玄海原発3、4号機の再稼働に同意した。九電が目指す夏までの再稼働に大きく前進した。

 ただ、岸本氏の言葉通り、原発の運転再開に長い時間がかかっている。その間、国民の生活を根幹から支えるエネルギー供給網は、目には見えなくとも蝕(むしば)まれてきた。

 平成25年7月、福島原発事故を教訓に、原発の新たな規制基準が施行された。この基準に適合しなければ、原発は動かせない。全国16原発26基が適合審査を申請した。

 だが施行から3年8カ月が経過した現在、再稼働しているのは九電川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)と四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)だけだ。

 原発の稼働率低下は、「火力頼み」につながる。

 九電は震災後、23年度末で廃止予定だった苅田発電所新2号機(福岡県苅田町)の運転を再開した。老朽化が著しい発電所を動かすには、多大なコストがかかる。それでも動かさざるを得なかった。

 全国で同様の現象が起き、火力発電への依存度は9割を超えた。

 国の試算では震災から27年度末までに計14・7兆円が、原発停止を補う火力発電の燃料費として、国外に流出した。日本の年間国家予算(一般会計)の15%にも当たる。

 九電の決算は26年度まで4年連続の最終赤字が続いた。電力網を維持する設備投資は、最小限に抑えられた。それでも耐えられず、九電は25年、工場など大口向けで平均11・94%、家庭向け6・23%の値上げに踏み切った。

 震災以降、企業・市民の節電や電力会社の努力で、大規模停電は起きていない。だが、中東地域で動乱が起きたら…。わが国のエネルギー安全保障は危機的状況にある。

 ■拙速だった制度

 23年8月、当時の民主党政権が慌ただしく導入したFITも問題となった。風力や水力などで起こした電気を、電力会社が一定額で買い取る制度だ。

 特に太陽光発電は初年度、1キロワット時あたり最大42円という高い買い取り価格が設定された。全国を太陽光ブームが席巻した。

 経済産業省によると、非住宅用太陽光発電は24年7月~28年10月までに計約88万件の申請があった。

 だが、実情はお寒いものだ。28年10月末時点で運転を始めたのは、約43万件に過ぎない。詐欺まがいの案件も多く、消費生活センターへの相談が相次ぐ。

 買い取り金額の大半は、消費者が賦課金として負担する。28年度の買い取りは2・3兆円に膨らんだ。標準的な家庭で月675円の賦課金を支払っている。

 政府は失敗を認め、制度にメスを入れた。今年4月に施行される改正FIT法では、入札制の導入や、悪質な業者を排除する仕組みを導入した。

 東京商工リサーチの担当者は「法改正によって、太陽光関連企業の淘汰(とうた)が続くだろう」と語った。

 ■弱体化が生むもの

 さらに、エネルギーインフラに打撃を与えかねない制度がある。

 28年4月に始まった電力小売りの全面自由化と、32年からの発送電分離だ。

 特に、発送電分離は既存電力会社の“解体”であり、さらなる弱体化を意味する。電力会社は、電力網への設備投資に二の足を踏むことになる。中長期的に日本のインフラの脆弱(ぜいじゃく)化が危惧される。

 九電の貫正義会長は今年2月、自民党福岡県議が主催したセミナーで、一連の電力システム改革について「地方経済を支えてきた電力会社の経営への影響や、エネルギーセキュリティー確保の観点から、内容とスケジュールを評価していただきたい」と述べた。

 異例の来賓あいさつに、会場はざわついた。それでも貫氏は「震災以降、エネルギー政策は電力事業者を排除して決められる。発送電分離が地方創生の支障とならないよう、政治にお願いしたい」と語った。

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